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「まだ七時よ」 彼女は朝はやい街が好きなのだ。朝はやい街をぬけ、白い息をはずませてここにやってくるのが。 「それに」 鏡ごしにぼくをにらんで、小鳥ちゃんはさらに言った。 「あなたたち、なにかというとキスばかりしてるのね」 おこるというより不満な口調だ。 「あたしの口がくちばしだとおもって」 ぼくはおどろいて、それからおかしくなって笑ってしまう。 「きみのくちばしはとてもきれいだよ。ほんとうにきれいなすきとおった赤で」 小鳥ちゃんはふくれているが、ぼくとおなじくらい、ぼくのいつもどおりをたのしんでいる。台所から、彼女のいれるコーヒーの匂いがただよってくる。 その日は、しかし結局どこへもでかけなかった。大掃除をする、と、彼女が宣言したのだ。 「もうじき春だもの」 まだ寒いけれど、その寒い空気の粒の一つ一つに、たしかに春が含まれている、と彼女は言う。 ぼくは洗濯を担当した。カーテンもシーツも枕カバーも、布という布は手あたりしだい洗う。 「すてき。嵐みたいね」 ぼくの肩にとまって洗濯機をみおろしながら、小鳥ちゃんはうっとりと言う。 「あたし、この音も好き」 ぼくの小鳥ちゃんはすこしかわっている。 「一度あのなかに入ってみたいわ」 物騒なことを言うのでぼくはぎょっとした。 「だめだよ。あぶないんだから」 小鳥ちゃんは、さもわかってないなというように、 「知ってるわ」 と言う。 「あたしはそのへんの無知な小鳥じゃないんだから」 洗濯機は、大きな布をつめこまれて普段以上に大きな音をたてている。洗濯の匂いとうずまくしゃぼん水。 「それは失礼」 ぼくは言った。写真立てをたおしたあとで、いつも小鳥ちゃんが言うように。 |
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居酒屋 ZUIKU C/W YOTABANASHI
「居酒屋」(せきみつぎ著・文芸社刊)より、著者の承諾を得て、ZUIKU(随句)と酔っ払いのYOTABANASHI(与太話)を抜粋して掲載しています ZUIKU(随句)は俳句のようなものです ...続きを見る |
居酒屋店長 2006/06/30 16:02 |
オノデラユキ
「一階でもニ階でもない夜 回送電車U」(堀江敏幸 中央公論新社)を読んでいて、オノデラユキという写真家のことを初めて知り、彼女に強く興味を感じた。 http://www.japandesign.ne.jp/GALLERY/NOW/onoderayuki/ 堀江氏は彼女のことを次のように紹介している。 ...続きを見る |
magnoria 2007/09/27 09:52 |
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ご返事遅れてごめんなさい(^^;。これで完結です(^^)。長いことご拝聴いただき有難うございました。 |
magnoria 2006/07/01 12:19 |
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