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help リーダーに追加 RSS 花曇りの空の下で

<<   作成日時 : 2006/04/25 10:23   >>

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4/3、4に上京した時は、中央線や京王線に乗っていると窓から満開の桜が見えたが、先週末はもう桜はほとんど終わり、駒場の東大のキャンパス内では八重桜が咲いていた。
私も40を過ぎ、桜を眺める気持ちが深くなったのを感じる、いや、若い時には花を美しいと感じる気持ちの余裕さえなかったのだと思う。桜の季節の終わりに、先日ブックオフで見つけてきた一冊の詩集の中からある詩を紹介したい。

 花曇りの空の下で

花曇りの空の下で 子供にされる
木の芽がふくれる この時 こぶしが先になる
茫洋として 遠い揺籃の記憶がよみがえる

十年は 長いか短いか 歌声に見送られて山麓の村に 帰っていっ
  たのは 春霞の頃であった
小川のそばの こだかいところに冷たい湧き水がながれ 花びらが
  浮かんでいた

深閑とした 樹間にあれは空耳であったか
若くない 若くないとあれは風の声であったか
人の世に 渦潮のようにまわる 輪廻の道しるべ
冬の慟哭 春の躍動 夏の新鮮 風はいつも いのちの加減をおし
  えるように 山麓の方向から 吹いていた

花曇りの空の下で
親しみなじんだ古里 お前が愛した春が訪れたのだ
暮れなずむ 中央線にも 雑踏の春があった
幼くても 大きくなっても愛は愛
乾いた光が流れるように 絆もふかくなったのだ

花曇りの空の下で
泣きやまない子供がいる 噴水が白い飛沫をあびている
回転木馬にまたがった少年が笑っている

解き放されて 空に向かって

                     (「詩集 姉回帰」(福士一男 2005)

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