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help リーダーに追加 RSS 虎を連れたお嬢様 春江

<<   作成日時 : 2008/03/01 14:49   >>

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 今、「篤姫」の再放送を見てたんだけど、宮崎あおいは、小鳥ちゃんって感じだよね!(^^)。私だって20代の頃は、ほっそりしていて華奢でほんと小鳥ちゃんみたいだったんだから。それが虎みたいなんて言われるとは…、ねえ?Mさん。
 けれど、大佛次郎の「ごろつき船」のヒロイン春江は、海賊船に救われて首領となって虎を連れているのですよ(笑)。やっぱり、虎御前だからね!
http://magnoria.at.webry.info/200711/article_70.html ←虎御前

 「人がいる」
 誰か、あきれたように低い声で言った。人々は伸び上った。なるほど、母屋と蔵とのある空地に人間らしい黒い影が立っているのだ。平然たる様子が、主の吾兵衛とは思われない。 
 虎のこともある。
 賊だ!
 虎を連れた賊だ。
 なお半信半疑ながら、はっと思ったのである。

 蔵の戸前に立って、覆面の下の白い顔を笑ませた者は武士であるが、争われないのは、すんなりとした華奢な躯付だ。それから、夜目にも白い皮膚の色と、美しく輝いた目だ。女!その、緊った形のいい唇が、すがすがしい夏の朝の食卓の苺の、色と円味を思わせて盛り上がったとき、ひゅーっと、口笛の音が夜気をふるわせた。音は屋根の上にいる連中にも聞えて振返らしたはずである。颯と、黒い風を呼んでなにか走って来た。おおきな躯を、この女の裾にこすり付けたのはさっきの恐ろしい虎だった。
 白い手がその逞しい頸を抱えた。
「あっちだよ」
 虎は、されるとおりになって、大きい首を屋根の上の人影に向けた。
 うおーッと、星空も揺るぎそうに怖しい声で吠えて、その方角へ一散に走り去った。
 屋根の上では、赤崎屋の者たちが、あわてふためいている。虎はすぐ下へ来て、木の幹を攀じ登って来そうな勢いを示しているのだ。
 男装の女は、それを眺めて静かに微笑んだ。女の自分が怖ろしくもなんとも思っていない物に、大きな男たちのこんなにも騒ぐのが可笑しかったのかも知れない。躯付は大きいが、顔はまだあどけない。お互いの迷惑を考える齢にはまだなっていないようである。
 「爺や!」
 と、鈴を振るような声で叫ぶと、すこし離れた土蔵の中から出て来たばかりの黒い影が振返って、つかつかと歩み寄って来た。龕燈の灯が地面に飛びながら一緒に来る。坊主頭の、がっしりした老人だ。誰あろう、昔の金剛嘉助なのだ。
 「もう、直ぐです、お嬢様」
・・・・・
 「ご覧なさい。太郎があんなに働いています・・・・・」
 糸の忘れ形見、春江は、こう言って虎を指さした。
 虎は優しい女王が自分の名を口にしたのを聞いたらしい。また勇ましく吠え上げた。
(『ごろつき船(下)』(大佛次郎 徳間文庫)


http://magnoria.at.webry.info/200801/article_82.html ←ごろつき道

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2008/03/01 18:52

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