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「風がやんではこまりますね」ハンプティ・ダンプティは、しんぱいそうに海をみおろして、さけびだしました。「おっと、ようじんようじん!ちゃくすいじゅんび、きをつけて!」でももう、おそすぎました。いきなり、みんなは、どっぴんしゃん、たたきつけられて、すってんころころ、ごろごろ、でんぐりかえしさせられました。それから、ふっとしずかになり、あとはただ、ひたひたと、おだやかな水のおとだけになりました。3にんは、かおをみあわせ、ほっとむねをなでおろしました。 でもハンプティ・ダンプティだけは、じっとしていませんでした。「よし、こんどはふねになおしちまおう」さっそく、つばさをおったりたたんだりして、水かきにつくりかえました。あとのふたりはまだ、ぼうっとしているのに、ハンプティ・ダンプティはもう、ふねの上から海をみわたして、陸地をさがしています。けれどもいちめん水ばかり、おまけに風はなし、これでは岸にはもどれません。 「たいへん、ハンプティ・ダンプティ!」ルピナスさんが、ぞっとしてさけびました。 「ゆかが、びっしょりぬれてるわ。紙ですもの、水にはよわいのよ。どうしましょう?」 ハンプティ・ダンプティは、まゆねをぐっとしかめ、それからたちまち、きっぱりいいわたしました。「ルピナスさん、ふねの上のものをみんななげすてろ!パタコトンくん、きみはぬれないように、やねにのぼってろ!ぼくが水をかいだしてやる」そして、ぼうしでもって、大いそぎで水をかいだしはじめました。ルピナスさんは、あるものをかたっぱしからぽんぽん、海になげすてました。コップも、ココアのかんも、いすも、おさらも、こうもりがさも―「おっとっと」ハンプティ・ダンプティはあわてて、「ルピナスさん、そのかさだけは、すてないで!」 でも、ふねは、しずみつづけています。パタコトン氏はやねのうえで、がたがたふるえながら、「なにしろ紙ですからね、ぬれたらおだぶつですからね、ああ!」 ふねはますます、しずんでゆきます。水のいきおいがはやすぎて、いくらかいだしてもまにあいません。「どうすればいいんでしょう?」ルピナスさんは、目をみはり、はなをクシュンクシュンさせています。 「しめた、いいことおもいついたぞ!」ハンプティ・ダンプティがさけびました。「かさだよ!」 そして、かさをぱっとひらくと、「ふねはたすからない。みんな、かさにのるんだ!」 そしてまず、ルピナスさんをかさにのせ、つづいて、ふるえどおしのパタコトン氏を、ようじんぶかくのりうつらせてやってから、さいごにじぶんがのりこみました。そのうえ、ふたりを、かたぐるまして、ぬれないようにしてやりました。 「やれやれ、いのちびろいしましたね。かさもってて、ほんとによかった。あらしもしずまったし、これでもうだいじょうぶ」そういってなぐさめながら、紙のふねをみると、いましもふねのてっぺんが、波にかくれようとするところです。「ともかくたすかったんだから」ハンプティ・ダンプティは、いばってみせましたが、やっぱりなんとなくこころぼそそうでした。 「わたしたち、ほんとにたすかったの?」ルピナスさんは、小さなこえでいいました。 「ほんとに?」パタコトン氏が、もっと小さな声でいいました。 みんなは、じっとまちました。いつまでもいつまでも。 (明日につづく) |
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