|
3人は、ぐったりと、いすにもたれこみました。たしかにたべすぎです。くちをきくのもおっくうです。パタコトン氏でさえ、だまってしまいました。ところが、このとき、紙のいえが、ゆらゆらゆれだしました。はじめはちょっぴり、それからだんだんはげしく、ぐらぐらと、そらも、あやしくかげってきました。 「ほうがいなるあらしっていうのも、わるかないですね」パタコトン氏はいいながら、さいごのハチミツアメをしゃぶっています。けれども、それをしゃぶりおえないうちに、 ピョコン―紙のいえは、ひとつ、とびあがりました。 「なるほど、これは―」パタコトン氏はいいかけましたが、まだむずかしいことばをひとつもつかわないうちに、 ピョコン―いえは、またひとつとびあがり、それから ピョコン―もうひとつ、それから ピョコン―まえよりももっとたかくとびあがって、 ぐらっとよろめいたのです。テーブルも、いすも、ココアのかんも、ハンプティ・ダンプティも、おさらも、ルピナスさんも、コップも、パタコトン氏も、スプーンも、テーブルかけも、みんなひっくりかえって、ごちゃまぜになったかとおもうと、こんどはまあ、いえごと風にふきとばされて、きりきりまいしながら、そらへ、ぶあつい黒雲のなかへとつっこんでいきました。 「たすけて!」パタコトン氏がわめきました。「たすけて、ぼくは紙だもの、たちまちとばされちまうんだ。たたたたたすけて!」 でも、ハンプティ・ダンプティが、うんよく右あしをつかまえ、あわやというところでひきとめてやりました。 「だいじょうぶ」ハンプティ・ダンプティは、パタコトン氏をやさしくなぐさめ、そのまま、あしをおさえてやりながら、「だいじょうぶ、すぐやみます。ほた、そらのさんぽだとおもえばいい。くうきがきれいで、からだにいいですよ。ただし、しっかりつかまっててください。このいえなら、かんたんにひこうきにはやがわりです。いっときますが、パタコトンさん、あなたの紙をえんりょなくつかわせてもらいます。そうそう、はさみもです。サンキュー」 そういったかとおもうと、紙のいえは、ワン・ツウ・スリー、あっというまに紙ひこうきにかわっていました。 「なんだ、きみも紙ざいくの名人だったのか!」パタコトン氏は、すっかりおそれいり、しばらくは、こわさもわすれたみたいでした。 「いえ、ほんのちょっとばかり」ミスタ・ハンプティ・ダンプティは、こまったようにせきばらいして、ほんのりほおをあからめています。 紙ひこうきは、鳥のように、ぐんぐんそらをとび、ますますたかくのぼってゆきました。木々が小さく小さくなってゆきます。あらしのせいで、木の葉もすっかりふきとばされてしまっています。 「鳥さん、たのしそうだこと!」まるぼうずのこずえから、ネコがしっぽをふりふり、しわがれ声でよびかけました。「おいでよ、鳥さん、あんたみたいにきれいな鳥、はじめてみたもの」でももう、それどころではありません。紙ひこうきはどんどんのぼっていったのです。 風は、ようやくしずまって、ほとんどわからないくらいになりました。下をみると―まあこわい―なんと、あおい海がひろがっているのでした。 (明日につづく) |
| << 前記事(2007/10/10) | トップへ | 後記事(2007/10/11)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2007/10/10) | トップへ | 後記事(2007/10/11)>> |